代理店に関する基本的なあれこれ。当サイトのスタンスとして、アダルトが前提なのであしからず。
代理店あれこれ
ライブチャット業界における代理店(プロダクション/エージェント)とは、ライブチャットサイトとパフォーマーの間を取り持つ存在のことを言います。
主な業務として代理店は『パフォーマーの募集、管理、教育、報酬の支払い』を行い、その他に個人で行うには少々面倒な雑務等を引き受ける代わりに、所属するパフォーマーが獲得したポイントの一部(取り分は任意)を報酬として代理店が受け取ります。
代理店を通した働き方には、代理店が提供している配信用に設備が整えられた部屋(チャットルーム)から配信を行う『通勤型』と、代理店のサポートを受けつつ自宅から配信を行う『在宅型』の二種類があり、どちらに力を入れているかは代理店の方針によって異なります。
一般的なフランチャイズのように高額な加盟金/解約金が必要ないことに加えて、場所と機材、そしてパフォーマーさえいれば即開業可能という手軽さから、低資金/低リスクで始められる新規ビジネスとして今もなお(甘い謳い文句に釣られがちな方々に)人気があります。
♦日本のライブチャットと代理店
『チャットレディ 地域名』で検索するとずらっと出てくる、およそセックスワークに分類される仕事だと感じさせないサイトデザイン、キラキラとした謳い文句に満ちた募集広告の数々…これらはすべて代理店によるパフォーマーの求人広告です。
日本のライブチャット業界において、代理店というのは芸能事務所やモデル事務所と同じような存在にあたり、現在活動しているパフォーマーの『ほぼ全員』がどこかの代理店に所属しています。
ライブチャット運営会社と直接契約(個人登録)することで、どこにも所属せずに個人で活動する選択肢もあるのですが、代理店を通さないと登録できないライブチャットサイトが存在する日本では非一般的。国内のライブチャットで働く上で代理店に所属することは重要な要素であり、それ故に手練手管の限りを尽くした熾烈な『パフォーマーの獲得競争』が繰り広げられています。
冒頭で述べた通勤型と在宅型という二つの働き方のうち、どちらの人気が高いのかは、2017年の9月にオランダのアムステルダムで開催されたインターネットアダルト業界の交流会イベントWebmaster Access(全文英語)にDMM.comが参加した際、国内のマーケットシェアについて行ったプレゼンテーションの中で軽く触れられていたので少し引用してみましょう。
Garcia revealed that in Japan “99 percent” of the cam girls log on at a studio location “like it’s their office.”
“They don’t like to do it from home by themselves. They think it’s a joke,”
日本語に訳すと『日本では99パーセントのチャットレディ/パフォーマーが、まるでそこが彼女たちの職場であるかのように(代理店が提供する)チャットルームから配信を行う。彼女たちは自宅から配信することを好まず、そういったことはジョークだと思っている』と書かれています。チャットルームを利用しない分、報酬率が高く設定されている在宅型の割合がこれほどまでに低いのは少々驚きですね。
♦代理店の仕組み
パフォーマーの獲得競争を繰り広げている一方で、水面下では『傘下代理店の獲得競争』をも繰り広げている日本のライブチャット業界。
『ライブチャット 代理店』で検索するとずらっと出てくる、『自己資金0円!』『出演女性紹介!』『独自のノウハウが云々!』といった胡散臭い謳い文句に満ちた募集広告の数々は、すべて傘下代理店の募集広告です。日本のライブチャット業界において、傘下代理店というのは既存代理店のサポートを受ける代わりにその代理店の下に付くことを意味し、この仕組みにより日本のライブチャット業界は、ライブチャットサイトを頂点とした複数の階層構造を形成しています。
ライブチャットサイトから支払われる報酬は上から下へと流れ、間に上位代理店が入るたびに手数料等と称して数パーセントが引かれます。代理店によって報酬率に大きな差がある主な理由がここで、下位代理店は残りの報酬からパフォーマーへ支払うために報酬率が低くなり、傘下代理店を多く抱える代理店はそれだけ資金面に余裕が生まれることになります。
この他にも、売上高(傘下代理店を含めた売上が上位代理店の数字となります)に応じて報酬率が上がるスライド制が用いられていたり、傘下代理店がチャットルームを開設してくれれば上位代理店は全国に〇〇店舗!のようにアピールできたりと、熾烈な獲得競争を繰り広げる理由は山のようにあるわけです。
こういった仕組みを理解した上で自ら下位代理店になりたいと思う事業者は少数だと思いますが、日本のライブチャット業界は二次代理店で溢れています。これは、とある人気ライブチャットサイトの一次代理店として登録するには容易に達成できない高い実績が必要となるため、取り扱うことを考えている場合は必然的に既存一次代理店(いわゆる大手と呼ばれる存在)の傘下に入るしか道がないことに起因します。
♦所属するメリット
需要に供給が追いつかず、カメラの前に座っているだけで『誰でも』稼げていたライブチャット黎明期~全盛期とは異なり、チャットレディ/パフォーマーは現在完全に供給過多。裸を晒す覚悟を決めたからといって簡単に稼げる時代では無くなっている現状において、戦略や『個』を持っていないパフォーマーはその他大勢の中にあっという間に埋もれてしまいます。
冒頭で述べた『パフォーマーの教育』というのは、こういった面での対策、平たく言えば効率の良い稼ぎ方を指導してもらえるということであり、この言葉には単なるアドバイスだけではなく、質の良いサムネイル写真の撮影や男性受けするプロフィールの書き方、配信向きのメイク方法など、収入アップに繋がるあらゆるサポートが含まれています。
利益の大部分を所属パフォーマーに依存している代理店側にとって、日々繰り広げられている熾烈な『客の獲得競争』に打ち勝つための適切な教育をどれだけ施せるかというのは、腕の見せ所であり、存在意義であり、そして代理店自身の収入を増やすことにも繋がる、非常に重要な業務となっています。
この他にも、日払いや任意のタイミングで報酬を受け取れるなど金銭面でのサポートや、パソコンやカメラに不具合があった際の技術的なサポート、ユーザーとのトラブル対応のような対外的なサポート等、代理店に所属するメリットには様々なものがあります。
♦海外のライブチャットと代理店
海外のライブチャット業界も代理店に所属しているパフォーマーが多いのかと言うとそうではなく、どういった働き方が主流なのかは地域によって明確に分かれています。
例えば、東欧や南米などのあまり豊かではない地域では、自身で機材や配信場所を確保する難しさから通勤型が一般的であり、中でも美人が非常に多い東欧という地域性と、ネット回線の高速さ等の好条件を備えたルーマニアは、専業のスタジオが立ち並ぶほどにライブチャットの代理店ビジネスが一大産業となっています。参考➡ルーマニアのカムガールたち 欧州セックスチャット業界の内側
一方、西欧や北米では代理店に所属せずに個人で活動しているパフォーマーが大多数を占めています。代理店に所属しない理由は、デメリット(報酬減)に対して得られるメリットが少ないからという至って単純なもの。前提として、海外のライブチャット業界には代理店を通さないと登録できないなんていう馬鹿みたいな話はなく(超クオリティが求められるLiveJasminで稼ぎたい場合は、実質スタジオ登録必須とも言えますが)、個人で自由に登録することができます。
また、海外には『生きた情報の宝庫』とも言うべき、ライブチャットに関するコミュニティがいくつも存在しています。アカウントを作成しなければ発言できない(=遡って過去の発言もすべて見ることができる)こともあって平和そのものであり、誰でも入れるオープンエリアや、パフォーマーであることを証明した人のみが入れるクローズドエリアで日々情報交換が行われています。
個人登録に壁がないことに加えて、現役のパフォーマーが集まる居心地の良い相談/雑談場所が存在している以上、自身で機材や配信場所を確保できる人にとっては並の代理店などに何の価値もなく(強いて挙げるとすれば日払い程度)、自由な雰囲気が魅力の一つでもあるチップ制ライブチャットの台頭も追い風となり、個人登録が主流となっているのは必然だと言えるでしょう。
♦まとめ
双方向性の面白さとアダルトの組み合わせという可能性を感じるサービスにも関わらず、数年前をピークに停滞感が否めない日本のライブチャット業界。原因を挙げようと思えばいくらでも挙げることができそうですが、その中でも特に大部分を占めているであろうこの業界が陥っている『負のスパイラル』に軽く触れてまとめとしたいと思います。
冒頭でも述べたように、ライブチャットの代理店ビジネスというのは場所と機材、そしてパフォーマーさえいればすぐに始めることができます。この手軽さと既存代理店による魅力的な謳い文句も相まって、全国各地に良悪様々な代理店が乱立した結果、ユーザーの増加率に対し数倍の勢いでパフォーマーが増えたことに端を発します。
需要と供給のバランスが供給過多に傾き簡単に稼げなくなってきたことで、『度を超えた時間稼ぎ/脱ぎ渋り』や『一言コメントによる釣り行為』など、目先の利益しか見ていない安直な行動が横行します。現在進行形で過激なことが行われているようなコメントに釣られて入ってみると、服を脱いですらいないパフォーマーが普通に話をしているだけ、というのは新規ユーザーであれば誰もが一度は通る道。全体的な質の低下により客足は遠のき、思うように稼げないパフォーマーは短期間で辞めていきます。
利益の減少を補うべく、代理店が打ち出すパフォーマーの募集広告に並ぶ謳い文句も次第にエスカレートしていきます。本当のことやマイナス面を書くと他所の代理店に流れてしまうため、一人でも多く面接に来てもらえるように多少(かなり)誇張して記載するのですが、結果として現実との落差ですぐ辞めてしまう、または先に挙げたような自身の、ひいては業界全体のリピーターを減らす安直な行動に走り…以下ループ。
代理店過剰に起因する過度の各獲得競争により今も抜け出せずにいるこの悪循環。ライブチャット業界は人の入れ替わりサイクルが非常に早く、次々と新規ユーザーや新人が入ってくるのでライブチャットサイト側は現状でも問題ないと考えているのかもしれませんが、願わくはどこかで悪循環を断ち切って市場/業界を育てる方向に舵を切ってほしいところですね。
♦おまけ
ここからは万人向けではなく、パフォーマーという仕事に興味を持っている方向け。代理店絡みのトラブルが非常に多いライブチャット業界で働くにあたり、未経験者が所属する代理店(通勤先)を選ぶ際に気を付けた方が良いポイント等についてにも書いておこうかと思います。文字が苦手な人はマンガだけでも読もう。
始めに知っておきたいのは、ライブチャット業界は虚偽・誇大広告に該当する求人広告で溢れかえっているということです(理由はすぐ上)。虚偽・誇大広告というのは『事実と異なる、または大げさなキャッチコピーを並べた広告』のことを言い、イメージしやすいように例を挙げると、月収○○円以上可!〇〇保証!登録/入店祝い金!面接交通費全額支給!等々。これらの謳い文句は離職率の高い業界が好む定番ワードとも言えるもので、書かれている待遇が魅力的であればあるほど、トラブルに遭う確率も比例して高くなる傾向があります。もちろん全てが嘘だと言うつもりはありませんが、代理店ビジネスの収益構造上、あまりにも派手な待遇は難しいということは覚えておきましょう。
国内の報酬率は通勤型30%、在宅型40%(100円/分の料金設定であれば報酬は30円/分、40円/分)が相場となっています。この数字は大手代理店数社によって設立された日本ライブチャット協会が『協会会員同士での競合や疲弊運営を避けるため』という理由で加盟店舗に向けて推奨している報酬率でもあるのですが、率直に言って前者は妥当としても後者の安さはただのギャグ。在宅型希望の方は報酬率50%前後の代理店を探すことをお勧めします。なお、報酬ページは意図的にわかりにくくしている場合が多く、パーティと2ショット等で報酬率が異なる変則的な所もあるので事前によく確認しましょう(報酬例の計算は大抵FANZAライブチャットの料金設定が元になっています)。
一方、海外系の相場事情は国内と大きく異なります。モロ出しのイメージが強く、それ故に取り扱っていることをサイト上に明記していないことが多い海外系の報酬率は、外部から確認できないこともあって代理店ごとに差が激しく、取り分がパフォーマー<代理店という所も珍しくありません。契約する前に報酬面をきちんと確認し、報酬単価の目安として1pt=30円(DXLIVE)を下回っている代理店は避けるようにしましょう。もう一つの海外系であるFC2ライブはリスクの塊。報酬還元率が70%、最初期に契約した代理店であれば85%(100円/分の料金設定であれば代理店に入る報酬は70円/分、85円/分)と、他のライブチャットとは格が違うこともあって稼ぎやすいのですが、その分逮捕&デジタルタトゥーのリスクも段違いなので出演はお勧めしません。と言うより取り扱っていることが判明した時点で距離を置いた方が賢明です。※この二つのリスクについてまとめました➡パフォーマーのリスクあれこれ
もし海外系と関わる可能性をあらかじめ排除したいのであれば、先に挙げた日本ライブチャット協会が発行しているJLAマークを探すと良いかもしれません。この協会に加盟するには『海外ライブチャットサイトに登録しないこと』を含む倫理規定の遵守が求められるため、JLAマークを掲げている代理店は必然的に国内のみを取り扱っていることを示しています。構成役員や過去の活動内容が不透明(会費等の使途不明)すぎて安心どころか若干の胡散臭さすら覚える協会ですが、協会会員は国内専門だとアピールするために入会金や会費を納めていることを考えると、代理店を選ぶ一つの材料にはなると思います。
気を付けるべき大まかなポイント(誇大広告、報酬率の相場、取り扱いサイト)についてはこれくらいでしょうか。公式ページで他にチェックしておきたいポイントを挙げるとすれば、サイトの更新頻度、ブログなどの文章から見える人間性、固定電話の有無、法人か否か…etc.細かいと思うかもしれませんが、誰でも気軽に参入できるだけあって控えめに言ってもまともな業界ではないので、こういった下調べは本当に大事。匿名で書き込める口コミや知恵袋は話半分に読むようにしましょう。比較サイト系も大人の事情であまり参考にはなりません。が、一番よく見かける名前であろう頭文字P自体は、巨大グループ企業の一員故に資本/資金力が他の代理店とは桁違いなので、報酬率や安心感という面であながち悪い選択肢ではないと思います。
ここまでいくつか『ネット』で選ぶ際のポイントを書いてきましたが、最終的には(当たり前ですが)直接自分で見て聞いて所属するのかを判断しましょう。写真ではオシャレなチャットルームだったのに実物は全然違うということはよくあります。書いてあった待遇と全然違うといったことはもっとよくあります。全国に展開している大手グループであれば大丈夫だろうと無条件に思いがちですが、全ての店舗が管理の行き届いた直営であることは稀であるため、当たり外れも多分に存在します。契約書にサインする前/個人情報を渡す前に必ず『見学』をさせてもらい、納得いくまで『質問』をし、ネットでの下調べでは決して見えない部分を自分で確認した上で、妥協しない選択肢を選んでほしいですね。
せっかくなので在宅型希望の方向けにもおまけのおまけ程度に少し。自身で機材や配信場所を確保できるのであれば安全度/自由度が高く、代理店に報酬の一部を引かれない個人登録を無条件に勧めたい…ところですが、国内の場合は出演できるサイトが限定されるだけではなく、専属契約をしても報酬率に優位性がないため(その他の面で特典はあります)、一概に個人登録がお勧めとは言えません。どちらにすべきかわからない方は、客質/客層が微妙に異なる他のサイトを試して自分に合った場所を探してみたいかどうか、代理店に所属することで発生する『代理店管理者にチャット中の映像を監視される』という伏せられがちなデメリット(これは通勤型にも存在します)を受け入れられるか否か、このあたりを参考にしてあまり深く考えずに選ぶと良いと思います。一方、海外系で働くことを考えている場合は断然個人登録をお勧めします。DXLIVEの武器とも言える『リモちゃ』をレンタルできる等のメリットはありますが、報酬に約二倍の差が生まれることを考えると、見合ったメリットとは言い難いでしょう。
代理店のサポートやノウハウがないと稼げないのでは?という声が聞こえてきそうなので最後にそのあたりにも触れると、これは当人の仕事に対する意識によります。具体的に言えば、簡単に稼げるという謳い文句を鵜呑みにして右も左もわからないままとりあえず配信を始めるような人は、新人期間という誰もが無条件で注目してくれる貴重な種まき期間を無為に過ごしてすぐ埋もれてしまうだろうし、画面越しとはいえ『接客業』という自覚がない人も、なぜ客が入ってこないのかがわからないまま消えていくでしょう。逆に、チャットレディ/パフォーマーという仕事について下調べをしっかりと行い、新人期間の重要性を始めから理解し、客側からの視点(写真、画質、照明、服装、魅せ方、待機姿勢…etc.)を常に持って試行錯誤するような人であれば、個人でも人気が出る可能性は高いと思います。自身での努力、研究、工夫を積み重ねて確立させる『個』の方が、ノウハウという名のマニュアルよりもよっぽど大事(これは海外でも同じ)な実力主義の世界なので、普段から物事を考える癖がついている人にはまず個人で始めてみることを勧めたいですね。
もはや昔のように誰にでも稼げる仕事ではありませんが、コネや人脈、特別な資格を持っていなくてもパソコンさえあれば『誰にでも稼ぐチャンスがある』ことを考えると、現在でも十分にやってみる価値がある仕事だと思います。興味を持っている方が自分に合った代理店や働き方を探す際に、このページに書いてある内容が少しでも参考になれば幸いです。所属する代理店選びは時間をかけて慎重に。